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宇宙日本食に関して実際の日本人宇宙飛行士のお話をご紹介させて頂きます!

昨年12/13(木)に東京で開催された宇宙航空研究開発機構(JAXA)の意見交換会にて、宇宙日本食の開発に取り組む事業者向けに大西飛行士がお話された内容や、その後の質疑応答についてご紹介させて頂きます。

まずは大西飛行士が冒頭でご自身の少年時代から現在に至るまでの経緯について話してくださいました。それによると、宇宙に興味を持ったのは両親からの図鑑やSF映画を見ていたことがきっかけで、将来は科学者・研究者になることを夢見たそうです。その後、学生時代では鳥人間コンテストにはまり、まずはANAのパイロット、それからJAXAが宇宙飛行士を公募したことをきっかけにJAXAの宇宙飛行士になったとのこと。

次に、大西飛行士自身が2016年の7月7日から115日間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在された時の宇宙での食事について話されました。

興味深かったのは宇宙飛行士がISSでどのような宇宙食を食べているのか。ISSでは基本的に日本人宇宙飛行士にはNASAが提供する宇宙食が提供されるのですが、そのすべてをNASAの宇宙食にする必要はないそうで、大西飛行士はそのうちの約15%をボーナス食として「宇宙日本食」を選び、食べられていたそうです。

ちなみにこのNASAの宇宙食は2週間ごとに新しいパッケージを開けられるようなのですが、開けた途端に人気のある宇宙食からなくなっていってしまうため、2週間の後半には何を食べるか困るそうなのですが、この時にボーナス食(「宇宙日本食」)の存在はとてもありがたく、自身への“ご褒美”として一食をすべて宇宙日本食にする、ということもしていたようです。

また、ISSに滞在している時は週に一回、クルー全員(日、米、露で計6名)で食事をしていたのですが、この時はお互いのお勧め宇宙食を持ち合い、提供する場となっていたため、日本文化を紹介することも兼ねて、宇宙日本食を積極的に振舞っていたそうです。

続けて、ISSに滞在している時のご自身の食欲についても紹介してくれました。ISSに到着した最初の1-2週間は24時間乗り物酔いになっているような“宇宙酔い”の状態で食欲はあまりなかったようです。さらには重力が無いためなのか、食べてもその食事が胃の入口に留まるような感覚があり、すぐに満腹感を感じてしまうことから十分量の食事がとれなかったそうです。

さらには無重力環境における宇宙食の粘性の重要性についてもご自身の経験から説明されました。特にロシアの宇宙食については粘性のバランスが良く、開けても飛び散らず、スプーンで食べやすかったそうです。

ロシアの宇宙食(左からポテトピューレ、豆のスープ、缶詰、料理名不明品)(提供:JAXA/NASA)

 

最後に日本の宇宙飛行士がこれからの宇宙日本食開発に期待していることについて話され、そこでは以下5点について述べられました。

①NASAが提供している宇宙食は一か月程度で飽きてしまい、3か月を過ぎると食べることがストレスになるため、宇宙日本食のバリエーションが増えて欲しい。

②宇宙日本食は海外の飛行士にも人気があるメニューが増えて欲しい。例えばカレー、ごはん、おにぎりなど。ただ、ロシア人飛行士は魚料理に抵抗は無いが、アメリカ人飛行士には抵抗を感じる人もいた。訓練中にわかったのはアメリカ人飛行士には煮玉子やカツカレーなどが好まれること。

③食事の時間が無くても素早く食べられる宇宙日本食があると良い(アメリカではエナジーバーのようなものがある)。

④宇宙では体重が減りやすいため、高カロリーの宇宙日本食があると良い。

⑤宇宙食の容器はコンパクトであり、食事の残渣が残らないような工夫がされると良い(ISSでは場合によっては2-3ヶ月ゴミを捨てる機会が無いこともあるため)。

また、質疑応答では以下のようなやりとりがありました。

質問:宇宙日本食の種類が多くなると15%枠の奪い合いになるのではないか?

大西:『現状では15%枠を増やすのは難しいため、JAXAでも宇宙日本食が標準食化されるように検討中。ただ、ISSで物々交換を円滑に進めることはチームに良い雰囲気を与える上で重要であり、自身としては自分の食べる量が減ってでも他のクルーの交換希望に応えたいと考えており、それは他の飛行士も同じだと思われる。』

質問:宇宙では飛行士がどのような栄養素をとりたいかなどの情報はあるか?

大西:『タンパク質は筋力を落とさない観点からも気をつけて摂取していた。また、ビタミンDの摂取は飛行士も気をつけており、錠剤で摂取することもしていたので、ビタミンDが強化された宇宙日本食も有難い。』

質問:どんな食事をしたいか?何を食べたいか?

大西:『宇宙食には様々な制限があるが、それを考慮しないのであれば「炊き立てのご飯に味噌汁」や手作り感のある料理が恋しかった。と言うのもISS内では非常に人工的な環境であって、様々な機器に囲まれている中で自然の風の音などを聴く機会もなく、食事の方もフリーズドライなど味気のないものもある中で、自然要素が恋しかった。』

質問:日本食ではどのような料理が食べたいか?

大西:『個人的にはハンバーグやトンカツなどの肉料理。野菜は必要最低限でいい。』

質問:宇宙では咀嚼・嚥下に違いは感じたか?

大西:『咀嚼はそれほどでもなかったが、嚥下は最初の数日間は抵抗があった。意識して飲み込もうとしないとうまく喉を通過しなかった。地球では重力が助けてくれているのだと思われる。地球では逆立ちしながら食べる感じが近いのかもしれない。ただ、1-2週間が過ぎるとそれに慣れて、特に意識せず食事出来るようになった。咀嚼に関しては全く違和感がなかった。口の中では唾液等により粘着性もあるので、特に食べているものが浮いているなどの感覚はなかった。』

以上が大西飛行士からのお話でした。これまでは実際に飛行士のお話を伺う機会はなかったため、非常に興味深いお話となっておりました。このようなお話を伺う機会をぜひ十勝でも設けたいと考えております。

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